今回は自分で伊勢神宮の初詣を計画して宿や鉄道のチケットをとったりした。お蔭参りも大事だが、もちろん、伊勢うどんはかかせない。お昼少し前に伊勢市駅前に到着し、宿泊予定のホテルに荷物を預け、まずは、「まめや」という老舗の店に食べに行くことにした。
初詣客で駅から外宮までの参道は割とにぎやかであるが、「まめや」は駅から見て外宮の反対側にあるので、人の流れはそれほどでもない。駅前の大きな建物には、昔はデパートかスーパーでも入っていたのだろうが、今はシャッターが閉められ、寂れた町並みに見える。

踏切を越え少し歩くと、伊勢うどんという看板を見つけ、古そうな建物に足を踏み入れた。外観は古そうだったが、中はそうでもない。リニューアルしたのだろうか、意外と広くて明るく清潔そうな店内である。テーブル席に座り、メニューを眺める。一番シンプルな伊勢うどんを注文した。
しばらく待つと伊勢うどんが届いた。白くて太いうどんは、あつあつで湯気がたっている。割と太くて柔らかそうだ。讃岐うどんとは全然違う食べ物みたい。伊勢うどんをゆでるには小一時間ほどかかるという話を聞いたことがあるので、茹でておいたものを暖めて客に出すのだろう。

出汁は、黒い。魚のダシがよくでていて、見た目ほどしょっぱくはない。むしろ、甘い。うどんの周辺部分、つまり外側の部分がふわふわ柔らかいからといって、ぶつぶつきれてしまうようなうどんではない。うどんの内部、中心部は、麺線を保持するためにきちんと芯があるというか、その割にはふにゃふにゃしているような、周辺部分を一手に集約する求心力があるというか、密度の濃いような逆にスカスカしているような、一つの言葉や感覚では理解表現することができない領域がある。茹で時間から考えると、麺の内部と外部でそれぞれ別に何らかの化学変化が起きていているということなのだろう。
伊勢神宮の内宮に通じる宇治橋の中心部は、一部木が盛り上がっていて、神様の通り道になっているそうである。おそらくお蔭横丁で買ったであろうお土産のビニール袋を提げながら、その神様が通る橋の中心部を歩いているあのおばさんや、中心部に片足をかけて交通整理をしているあのおじさんには、伊勢うどんの奥深さはわからないだろう。
2007年1月
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